今や求人誌でコールセンターオペレーターの募集記事を見ないことのほうが少なくなるほど、つねに人員が求められているコールセンター業界。その背景には、高い離職率による慢性的な人手不足があります。大量に募集をかけてもすぐに辞められてしまい、発生する膨大なコストが運営側の悩みといえます。長く勤めてもらえる人材を確保することが課題といえるでしょう。
コールセンタージャパンの調査による新人オペレーターの離職率の推移をみると、71%以上と回答した企業は、2013年では0.9%と最も低かったのに比べ、2018年には22.0%まで膨れあがっていることがわかります。
参考:https://callcenter-japan.com/magazine/3838.html
ひとくちにコールセンターといっても職種やセンターの規模、正社員と非正規社員の割合など、職場によって離職の理由はさまざまですが、共通している問題点も多くあります。
筆者は10年間で業種の異なる4つのコールセンター勤務を経験しましたが、決して簡単な仕事ではなかったと言えます。
そこで今回は、元オペレーターの立場からみた、離職の原因として考えられる大きな要因と、早期離職を防ぐポイントについて書いていきたいと思います。
目次
コールセンターの離職率が高い理由と、早期離職を防ぐ3つのポイント
コールセンターには、インバウンド(受信)とアウトバウンド(発信)の2つの形態があり、それぞれ離職理由にもやや異なる部分があります。
●インバウンドの主な離職理由・・・クレーム対応がつらい、達成感が感じられずモチベーション維持が困難
●アウトバウンドの主な離職理由・・・顧客にぞんざいに扱われる、ノルマがきつい
いずれも、オペレーターに多大なストレスを与える要因となり得ます。
そのためコールセンターの離職を防ぐには、オペレーター各々のストレスマネジメントが重要であると同時に、リーダーやSV、トレーナー、センター管理者、それぞれに注意すべきポイントがあります。
人手不足により、面接がおろそかになる
電話対応というのは特殊な仕事です。対面接客と違い、相手の顔が見えない電話は、対応中に想像以上の暴言や脅迫、人格否定ともとれる言葉を浴びせられることもあります。商品やサービスなど覚えることも多く、ある程度の覚悟がなければ、のちのち「こんなに大変だったなんて・・・」とオペレーターのなかでギャップが生まれてしまい、離職に繋がる可能性が高くなります。
入社後のケアはさらに重要ですが、面接の段階である程度素質を見極めたり、業務内容を理解しているかの確認も大切です。
SVの業務スキル、ヒューマンスキルにばらつきがある
SVの存在は、新人オペレーターだけでなくセンター全体にとって最も重要といえます、複数のSVが在籍している場合、基本的な業務スキルにばらつきがあると「人によって指示が違う」「相談しても一度で解決できない」といった問題が起きる可能性があります。
また、威圧的、気難しいなどのヒューマンスキルの問題も、オペレーターにとって多大なストレスとなり、コミュニケーションの希薄を招きます。
筆者が勤めていたセンターでも、「SVと合わない」という理由で辞めていった先輩や同期がたくさんいました。
センターによっては、人手不足で経験の長いオペレーターを取り急ぎSVに昇格し、十分に研修がされないまま現場に出されているケースも少なくありません。
オペレーターがミスをしてしまったときのサポートが不十分になってしまったりなど、SVの負担を軽減させるためにも、研修を充実させることや、SV同士でもフォローし合えるような風通しのよい環境づくりが必要だと考えます。
オペレーター自身が業務に意味を見いだせていない
アウトバウンドのノルマなど、毎月センター全体で売り上げ目標というのがあります。オペレーター一人ひとりが目標達成を追うにあたって、上から指示された業務を粛々とこなすだけでは当然精神的に追い詰められていきます。
大切なのは、オペレーター自身が「自分は会社に貢献できている」という実感をつくることです。
自分が働くことによって誰が助かるのか、どのように利益をもたらせているのかなどを、オペレーターとともに考えるような時間を設ける対策が有効かと思われます。
また、インバウンドでは数字ではかれる明確な目標がない場合が多く、評価体制が曖昧でモチベーションが低下していまう問題にも同じ対策があてはまります。
意味を見いだし、さらに定期的なモニタリングチェックなどで評価を数字で表すなどを行うと、より効果的かと思われます。
さいごに
コールセンター運営には、さまざまな課題が山積しています。
自社で新人スタッフやSVの教育、管理をまかなうのは非常に困難といえるでしょう。
コスト削減のためにも、外注をするのが効率がよく、おすすめです。
ぜひご検討ください。