「オペレーター教育でコールセンターの品質をあげることができるの?」
このようなご質問をいただくことがよくあります。
結論からいうと、もちろん可能です。
ですが、「どのようなオペレーターを育てる必要があるのか」、「どのような研修を実施する必要があるのか」。
その基準を明確にしなければ、品質を高めてくれるオペレーターを教育するのは、むずかしくなってきます。
では、コールセンターの品質をあげるオペレーターとは、どのような意識で業務を行う人材で、適切なオペレーター教育とはどのような方法で実施するべきなのか。
これらの点にフォーカスをあてて、いくつかご紹介します。
目次
コールセンターの品質をあげるオペレーター教育とは?
コールセンターの品質をあげるオペレーターには以下3つの要素が必要不可欠です。
• 自社製品(サービス)の知識を熟知している
• お客様目線で応対することができる
• 自らの役割を理解・把握しようとする姿勢がある
それぞれについて、以下でご説明します。
自社製品(サービス)の知識を熟知している
当然のことですが、自社製品(サービス)の知識が不十分な状態では、お客様の期待に応えることができず、顧客対応の品質としてよくありません。
そのため、はじめのうちは、「最低限の知識を持って、基本的な対応ができること」を意識した教育をほどこしていく必要があります。
のちのち経験や自習を積むことにより、知識は成熟していきますので、まずは“最低限”必要な知識の定着を目指していきましょう。
お客様目線(自分事)として応対することができる
コールセンターにおける電話対応のキモは、「お客様目線(自分事化)して対応すること」です。
お客様が持つ悩みを、人ごとととらえず、自分事化することにより、いっそうお客様に近い目線で会話をすることができるようになります。
その結果、お客様の満足度を高めることにつながり、応対品質の向上につながります。
自らの役割を理解・把握しようとする姿勢がある
コールセンターには、インバウンド・アウトバウンドなどの業態がありますよね。
それぞれの業態によって、やるべきこと、心がけることは異なってくるはずです。
インバウンド…お悩みの解決をめざし具体的な解決策を提案する 等
アウトバウンド…商品の利便性や性能を説明し購買につなげる 等
めざすべき目標を明確にし、自らが果たすべき役割を理解・把握しているオペレーターは、すべての業務において、質の高い業務を行ってくれます。
最も大切な研修は「OJT」?研修で大切なのは○○です。
多くの企業では、OJT(実践研修)が研修では最重要と位置づけされていますが、それは間違いです。
研修でもっとも大切なのは、いちばん最初に行う“座学“です。
コールセンターでの就業経験がないオペレーターを、教育する場合を例にお話しします。
コールセンター未経験者の不安
・システム(電話機を含む)をちゃんと利用できるか
・スクリプト通り対応が行えるか
・業務知識をきちんと理解できるか
そう考えると、座学を簡単に終わらせてしまい、OJTに入ってしまうと、オペレーターは戸惑ってしまうだけです。
そのため、基本的な下地ができたうえで、OJTによって経験を積む必要があるわけです。
オペレーターのモチベーションをあげるマネジメント方法
どのような職種でもそうですが、仕事をするうえでモチベーションをあげることはとても大切なことです。
特に新人教育においては、研修を担当する管理者のマネジメント力によって、その後の成長速度や、業務遂行能力におおきく影響します。
そこで「オペレーターのモチベーションをあげるマネジメント方法」を、以下で3つご紹介します。
研修の担当者はできる限り固定する
コールセンターの場合、シフト制で勤務をしている方がほとんどです。
そのため、研修の担当者が、研修期間中に何人も入れ替わりになってしまうことがあります。
実務として仕方ない部分もあるのですが、これには大きな問題点があります。
それは、“研修担当者によって教育方法がバラバラになりやすい”という点です。
例えば、研修担当者のAさんからは、「1のボタンを押した後に2の操作をしてください」と教わっていたとします。
しかし、Bさんからは「3のボタンを押した後に2の操作をしてください」と指導を受けました。
いかがでしょう?自らからが研修を受ける立場なら、混乱してしまいますよね。
このように、研修担当者がコロコロ変わると、オペレーターさん達のストレスになり、知識の定着にもよくありません。
そのため、研修の担当者はできる限り固定し、説明内容に矛盾が発生しないようにすることが大切です。
先輩オペレーターと気軽に話せる時間を作る
コールセンター以外でもいえることですが、職場の空気感を知ってもらうことは、とても重要です。
「これから仕事をするところはどういった環境なのか」、「一緒に働く人たちはどんな人たちなのか」
新人オペレーターは、このような面がとても気になっているはずです。
そのため、これらの疑問を解決するいちばんの方法が、先輩オペレーターと話せる時間を作るということです。
実際の運用や、現場の状況を知っている先輩オペレーターと話しをする時間を設けることで、コミュニケーションをはかれるだけでなく、業務研修にも意欲的に参加してくれるようになります。
しかし、「業務上どうしても時間を作ることができない」ということも少なくないですよね。
そこでおすすめなのは、“お昼時間を一緒に過ごしてもらう“というものです。
執務室内では、緊張して話せないという方でも、お昼を一緒に食べながらお話しをするだけで、緊張の糸がほぐれ、仕事に対してのモチベーションを向上させることにつながっていきます。
研修期間を最低でも1カ月程度設ける
研修期間は企業によってバラバラですが、おおよそ1カ月程度で設けているところが多いです。
ですが、まれに1週間~2週間ほどで研修期間を終了し、実践に移行するという現場もあります。
研修期間をできるだけ短く、すぐに実践にはいることは、とてもリスクを伴う行ためです。
ここでひとつ例をあげて考えてみようと思います。
例:1週間ほどの研修で実務を開始したが、すぐにクレーム案件にあたってしまった。
このオペレーターは、仕事に対するモチベーションを保つことができるでしょうか?
答えはNOです。
オペレーター教育というのは、通常の対応ができる程度の知識と電話対応のスキルを学んでもらう期間のはずですよね。
通常の対応がままならないのに、いきなりクレーム案件の対応などできるわけがありません。
オペレーターのモチベーション低下
・仕事への意欲が減少し、スキルアップに消極的になる
・応対品質が低下してしまう
・フィードバック(ミスの報告・改善点の説明)時に、素直に聞き入れてもらえなくなる
など、多くの問題を生み出す原因です。
現場によっては、研修期間を長期で設けることがむずかしいところもあるかと思いますが、できる限り時間を割き、個人の進捗に合わせた研修を行うことが大切です。
まとめ
オペレーター教育によって、コールセンターの品質をあげることは可能です。
しかし、そのためには、「意識的に業務に取組む姿勢をもったオペレーターの育成」と、「適切な期間、環境で研修を行う」ことが必要です。
オペレーター教育は試行錯誤の連続です。
前回おこなった施策が、今回も正解とは限りません。
だからこそ、徹底的に考え、悩む必要があるのです。